毎月の請求書処理は、中小企業の事務でもっとも時間を取られる作業の一つです。届いた請求書を開き、金額と期日を確認し、会計ソフトに入力し、支払予定表を更新し、振込をする。取引先が30社あれば、月末の数日がこれで終わります。
この記事では、受け取る請求書と発行する請求書の両方について、どこまで自動化できるのか、どんな手段があるのか、そして2023年のインボイス制度・電子帳簿保存法への対応とあわせて、進め方を解説します。
請求書業務のどこに時間がかかっているか
| 工程 | 受け取る請求書(支払い) | 発行する請求書(入金) |
|---|---|---|
| 集める | メール・郵送・ポータルからバラバラに届く | 受注データ・作業記録を集める |
| 読む・作る | 金額・取引先・期日・登録番号を確認 | 請求書を作成し、宛先ごとに送る |
| 入力する | 会計ソフトに仕訳を入力 | 売掛金を登録 |
| 照合する | 支払予定と振込を照合 | 入金と請求を消し込み、未入金を督促 |
| 保存する | 電子帳簿保存法に沿って保存 | 控えを保存 |
自動化の効果が大きいのは、「読む」「入力する」「照合する」の3つです。ここに人の時間のほとんどが使われています。
受け取る請求書の自動化
1. 受け取り口を一つにまとめる
請求書の送付先を専用のメールアドレス(例:invoice@)に統一してもらいます。郵送の請求書は、スキャンして同じ場所に入れます。入口が一つになるだけで、後の自動化が格段に楽になります。
2. AI-OCRで読み取る
AI-OCR(文字認識)は、PDFや画像の請求書から、取引先名・金額・税率・期日・インボイスの登録番号を読み取ります。フォーマットがバラバラな請求書でも、現在のAIは高い精度で項目を判別できます。
3. 会計ソフトへ自動で仕訳する
読み取った内容をもとに、取引先ごとの勘定科目で仕訳を作り、会計ソフトに登録します。最初の数か月は人が確認してから登録する運用にし、間違いのパターンをルールに反映していきます。
4. 支払予定と振込データを作る
期日ごとの支払予定表を自動で更新し、ネットバンキングに取り込める振込データ(総合振込ファイル)まで作ります。人は最終確認と承認だけを行います。
発行する請求書の自動化
- 請求書の作成:販売管理や受注データから、月末に請求書を自動で作成し、PDFで取引先ごとに送付。
- 入金の消し込み:銀行の入金データと請求を照合し、入金済み・一部入金・未入金を自動で判定。
- 督促:期日を過ぎた取引先に、経過日数に応じた文面で自動連絡。人が気まずさを感じる作業ほど、自動化の価値があります。
インボイス制度・電子帳簿保存法への対応
2023年10月からのインボイス制度では、受け取った請求書の登録番号の確認が必要になりました。また電子帳簿保存法では、メールやPDFで受け取った請求書を、一定の要件(検索できる状態など)で電子のまま保存することが求められています。
AI-OCRで登録番号を読み取り、国税庁の公表サイトと自動で照合し、日付・金額・取引先で検索できる形で保存する。ここまでを一連の流れにしておくと、法令対応の手間も同時になくなります。
手段の選び方
| 手段 | 向いている会社 | 注意点 |
|---|---|---|
| 会計ソフトの請求書読み取り機能 | 取引先が少なく、会計ソフトを統一している | 読み取り後の照合・支払処理は手作業が残りやすい |
| 請求書受領サービス | 受け取る請求書が多い | 月額・件数課金。発行側は別のサービスが必要 |
| 業務に合わせたAIエージェント | 受け取り・発行・照合・督促を一本でつなげたい | 最初の設計が大切。保守まで任せられる相手を選ぶ |
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よくある質問
Q. 手書きの請求書も読み取れますか?
読み取れますが、印字されたものより精度は下がります。手書きの請求書が多い取引先には、可能であればPDFでの発行をお願いするのが確実です。
Q. 税理士に頼んでいる部分との分担は?
日々の入力と照合を自動化し、税理士には月次の確認と決算を任せる形が一般的です。データが整理された状態で渡せるため、税理士報酬の見直しにつながることもあります。
まとめ
請求書業務の自動化は、受け取り口を一つにまとめ、AI-OCRで読み取り、会計ソフトと支払・入金の照合までをつなげることで、月末の数日を数時間に変えられます。インボイス制度と電子帳簿保存法への対応も同じ流れに組み込めば、法令対応のための作業も増えません。まずは受け取り口の統一から始めてください。

